2025年10月1日、国土交通省は日本郵便に対して、自動車188両の「使用停止処分」を通知しました。この処分は全国111の郵便局に及び、停止期間は最長160日という異例の規模です。この事例は、単なる大手企業の失態ではなく、すべての運送事業者にとって深刻な警告となっています。

今回の処分の主な理由は、運行管理における不備、特に点呼実施の不適切な対応にあります。日本郵便は公式コメントで「再発防止と信頼回復に努める」とのコメントを発表していますが、この深刻な行政処分がいかに重大な問題であるかを物語っています。

運送事業者が今すぐ注視すべき三つのポイント

第一のポイント:点呼実施の確実性

具体的には、点呼実施記録が形式的になっていないか、という点が問題です。ドライバーの顔を見ず、報告書を形だけ受け取るような点呼では、ドライバーの疲労状態や健康状態を正確に把握することができません。点呼は単なる「記録」ではなく、ドライバーの安全を確保するための「対話」であるべきです。

第二のポイント:運行管理者の責任体制

運行管理者として資格を持っていても、実際の業務が他の職務に埋もれてしまい、本来の運行管理業務に充分な時間と注意を払えていない事業者も存在します。これでは、いかに有能な運行管理者を配置していても、その機能を発揮することはできません。

第三のポイント:日々の運行安全体制の構築

具体的には、アルコールチェックの履歴管理と確認体制が挙げられます。アルコール検査を形式的に実施しているだけでは、飲酒運転の防止につながりません。検査結果の記録を適切に保管し、異常値が出た場合の対応体制を事前に整備しておくことが必要です。

行政処分は突然やってくる——覚悟と準備が必要

重大事故のリスクが高まることはもちろんですが、同時に行政処分の対象になる可能性も飛躍的に高まります。そして、行政処分が下された場合、事業の継続性すら脅かされることになるのです。日本郵便の事例でも、188両の自動車が最長160日間使用停止となれば、事業運営に極めて深刻な影響を及ぼします。

今回の日本郵便への処分は、大手企業だからこそメディアに大きく報道されました。しかし、同様のリスクは中小の運送事業者にも等しく存在しているのです。むしろ、リソースが限定されている中小事業者の方が、点呼体制の不備に陥りやすい側面があります。

今こそ内部点検と体制強化を

一つ目は、点呼の実施体制です。現在の点呼運用が、本当に意味のある対話となっているか。IT点呼を導入している場合は、その運用が形骸化していないか。これらを客観的に評価する必要があります。

三つ目は、ドライバーとのコミュニケーションです。事業者とドライバーの間に、信頼と相互理解に基づいたコミュニケーション体制が構築されているか。安全上の問題を相談しやすい環境が整っているか。これらも同様に評価する必要があります。

私自身、行政書士として運送許認可の支援をしてきた経験上、「点呼体制が不十分な事業者」は決して少なくありません。許可を取得する段階では、規程類も整備され、体制も整っているように見えます。しかし、事業開始後、日々の業務に追われるうちに、これらの体制が形骸化していくケースが多く見られるのです。

日本郵便の事例は、決して他人事ではありません。今こそ、自社の運行管理体制を見つめ直す時です。

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