荷主も罰則対象に|運送業界が今すぐ備えるべき実務ポイントを行政書士が解説
運送業界にとって、2026年4月は一つの大きな節目になります。
いわゆる「白トラ規制強化」が本格的に始まり、これまで曖昧にされがちだった「違法な白ナンバー有償運送」に、明確なメスが入るからです。
今回の改正は、単なる取締り強化ではありません。
運送事業者だけでなく、荷主側の責任も問われるという点で、物流の常識そのものが変わろうとしています。
私は日頃、運送事業者の許認可や経営相談に携わっていますが、今回の改正は「真面目にやってきた事業者が、ようやく報われる制度」だと感じています。
一方で、準備を怠れば大きなリスクになるのも事実です。
この記事では、2026年4月から何が変わるのか、そして今、何を考え、何を準備すべきかを、実務家の視点で整理していきます。
1. 白トラ規制強化とは?2026年4月から何が変わるのか
政府が決めた新たなルール
2025年11月21日、政府は貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律に関する政令を閣議決定しました。
この改正により、
2026年4月1日以降、違法な白ナンバートラック(いわゆる白トラ)を利用した場合、100万円以下の罰金が科されることになります。
ここで改めて整理しておきましょう。
-
白ナンバー
→ 自家用車両用。自社の荷物を自社で運ぶ場合のみ使用可能 -
緑ナンバー
→ 事業用。運賃を受け取って他人の荷物を運ぶ場合は必須
本来、他人の荷物を有償で運ぶには、
-
運送業許可の取得
-
運行管理者の選任
-
車両整備・労務管理
など、一定のルールを守る必要があります。
しかし現実には、
「許可を取るのが大変だから」
「コストをかけたくないから」
という理由で、白ナンバーのまま運送を行う事業者が存在してきました。
これが、いわゆる「白トラ」です。
規制強化の背景にある「物流2024年問題」
今回の規制強化の背景には、物流2024年問題があります。
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働は
年間960時間までに制限されました。
これはドライバーの健康と安全を守るために必要な制度ですが、その一方で、
-
運べる量が減る
-
ドライバー不足が深刻化する
-
運賃を上げざるを得ない
という現実も生まれました。
そんな中、
労働時間規制も受けず、コストもかけず、相場の半額以下で仕事を取る白トラが市場に存在すれば、どうなるでしょうか。
真面目に法令を守っている運送会社ほど、苦しくなってしまいます。
この歪んだ状況を是正するため、
「違法な運送は使う側も責任を負う」という考え方が、今回の法改正の根底にあります。
2. これまでの白ナンバー有償運送の問題点
最大の問題は「安全管理がない」こと
白トラの最大の問題は、安全管理体制が事実上存在しないことです。
正規の運送事業者には、
-
運行管理者の選任
-
ドライバーの健康チェック
-
運転時間・休憩時間の管理
-
車両の定期点検
-
事故時の補償体制
といった義務があります。
一方、白トラにはこれらの義務がありません。
その結果、
-
過労運転
-
整備不良
-
事故時に十分な補償ができない
といったリスクが常に付きまといます。
事故が起きてからでは、取り返しがつきません。
不公正な価格競争が業界を疲弊させてきた
白トラは、
-
許可取得費用
-
人件費
-
保険料
-
点検整備費
といったコストを負担していません。
だからこそ、異常に安い運賃を提示できます。
結果として、
-
適正運賃を守る会社が仕事を失う
-
ドライバーの待遇が悪化する
-
人手不足が加速する
という悪循環が続いてきました。
荷主企業にとっても他人事ではない
「運送は業者に任せているから大丈夫」
そう思っている荷主企業ほど、注意が必要です。
白トラが事故を起こせば、
-
使用者責任
-
安全配慮義務違反
を問われる可能性があります。
さらに、違法業者と取引していた事実が公になれば、
企業イメージ・信用の低下は避けられません。
3. 荷主側にも罰則が及ぶ時代へ
「知らなかった」は通用しない
今回の改正の最大のポイントは、
荷主側にも責任が及ぶことです。
2026年4月以降、国土交通省は荷主に対して、
-
是正命令
-
勧告
-
企業名の公表
を行えるようになります。
特に「企業名の公表」は、
企業にとって極めて重い措置です。
荷主企業が今すぐやるべきこと
-
運送会社の許可証を確認する
-
再委託先までチェックする
-
異常に安い運賃に疑問を持つ
これらは最低限のリスク管理です。
運送事業者にとっては大きな追い風
一方で、
きちんと許可を取り、法令を守ってきた運送事業者にとって、今回の改正はチャンスです。
価格ではなく、
「安全」「信頼」「継続性」で選ばれる時代が、ようやく始まります。
4. 運送事業者が今すぐ確認すべき3つのポイント
① 許可内容の再確認
② 契約内容の見直し
③ 協力会社の許可チェック
これは「今やっておくべき最低限の備え」です。
5. 適正運賃が当たり前になる未来へ
最低運賃制度の検討、許可の5年更新制。
これらはすべて、業界を健全にするための流れです。
6. まとめ:法改正は「守ってきた人」の味方
今回の白トラ規制強化は、
真面目にやってきた事業者を守るための制度です。
準備をすれば、
リスクではなく、強みになります。
(*´꒳`*) 読んでくれたあなたが、今日もちょっと笑顔になれますように (*´꒳`*)
【運送業許可・法令対応のご相談はこちら】
一般貨物自動車運送事業の許可申請
変更届・事業報告・更新手続き
労働時間・法令・コンプライアンスの整理
人手不足時代を見据えた運送業経営サポート
埼玉県をはじめ関東甲信越の運送事業者様を中心に、丁寧に対応しています。
▼お問い合わせはこちら
(※「ブログ記事を見た」と書いていただけるとスムーズです)
#白トラ規制強化 #2026年4月施行 #運送業 #物流業界 #荷主責任 #運送業許可 #緑ナンバー #適正運賃 #物流2024年問題 #行政書士